【ネタバレあり】つまらない?村上春樹『1973年のピンボール』のあらすじと感想

中山家の本棚 『1973年のピンボール』アイキャッチ

 村上春樹の初期の青春小説3編は「鼠三部作」として知られています。

 それぞれのタイトルは、『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』です。

 この3作品の中でも、「内容がよく分からない」、「つまらない」と評されることもあるのが『1973年のピンボール』。

 私も実際に何度も読んでいますが、確かに内容がつかみづらいと思います。

 今回は『1973年のピンボール』のあらすじと読んだ感想をご紹介します。

目次

『1973年のピンボール』の情報

『1973年のピンボール』
『1973年のピンボール』
  • タイトル:『1973年のピンボール』
  • 著者:村上春樹
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • ジャンル:小説
  • 読了日:2023年6月13日(再読)

あらすじ

 1973年の秋、700キロ離れた街に住んでいた「僕」と「鼠」。

 双子の姉妹と共同生活を送ることになった「僕」は、ある日曜日の夕方、ピンボールに心惹かれます。

 そのピンボールは、1970年に夢中でプレイした「スペースシップ」というピンボール。

 「僕」は「僕」の唯一の理解者であったスペースシップの行方を辿り始めます。

 一方、「鼠」は馴染みのジェイズ・バーに通い、設計事務所で働く女性と関係を持ちながら、鬱屈とした日々を送っていました。

 葛藤を続けた「鼠」は、鬱屈とした日々から抜け出そうと、ジェイズ・バーに別れを告げ、街を出る決心をします。

 その頃、「僕」もまた、スペースシップ、そして双子の姉妹に別れを告げて、秋の終わりとともに日々の生活に戻っていくのです。

感想

 確かに「何が言いたいか分からない」、「つまらない」という感想が出てきても不思議ではありません。

 というのも、この作品は700キロ離れた「僕」と「鼠」の2人の話が交互に語られていて、時系列も交錯しているからです。

 「さぁ、ここから」という時に、物語の本筋とは関係なさそうな回想が入ってくるのですから混乱するでしょう。

 最後も何だかあっけない終わり方で拍子抜け。

 しかし、この『1973年のピンボール』は“別れ”と“孤独”の受容の物語なのです。

 「僕」は「僕」を唯一理解してくれていたピンボール台、スペースシップを自ら探し出し、対話をして、自ら別れを告げます。

 おそらく、スペースシップはこの世から消えてしまった直子のことでしょう。

 直子をスペースシップに重ね、直子との別れに向き合い、これからの“孤独”を受容する一種の儀式だったのでは、と感じました。

 「僕」が最後、敢えて塗り替えることをしなかった「僕」と「彼女」のベストスコアは165000。

 「彼女」のシリアルナンバーは165029。

 ここに何らかのつながりを感じるのは私だけでしょうか?

 「鼠」も鬱屈した自堕落な日々から抜け出そうと、女性との関係を終わらせ、馴染みのジェイズ・バーに別れを告げて、一人、街を出ていこうとします。

 「鼠」も時を同じくして、己の中での気持ちに終止符を打ち、これまでの人生に“別れ”を告げたのです。

 『1973年のピンボール』は「僕」と「鼠」が過去に“別れ”を告げ、“孤独”を受け入れていく物語だといえるでしょう。

まとめ:村上春樹の作品に慣れた人にはおすすめ

 村上春樹の「鼠三部作」の二作目、『1973年のピンボール』をご紹介しました。

 この作品は時系列がバラバラで、内容も一読するだけでは分かりづらいです。

 なので、村上春樹の作品の雰囲気に慣れた人におすすめです。

 正直、村上春樹の作品をまだ1冊も読んでいない人には、『1973年のピンボール』よりも、村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』をおすすめします。

 「鼠三部作」を読破したい人は必読の一冊。

 “別れ”と“孤独”の受容をテーマとした物語だと考えて読むと、多少読みやすいと思います。

 『1973年のピンボール』を買って読んでみたいという人はこちらからどうぞ。

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