皆さんは村上春樹と聞いて思い浮かべる作品は何ですか?
村上春樹を知っている人なら、『ノルウェイの森』、『1Q84』、新しい作品だと、2023年4月に発売された『街とその不確かな壁』など、様々な作品を挙げると思います。
では、その村上春樹を誕生させたデビュー作は一体何でしょうか?
正解は『風の歌を聴け』。
文学界に衝撃と新しい風を与えた『風の歌を聴け』は短いながら名文の宝庫。
今回は『風の歌を聴け』のあらすじと魅力をご紹介します。
『風の歌を聴け』の情報

- タイトル:『風の歌を聴け』
- 著者:村上春樹
- 出版社:講談社(講談社文庫)
- ジャンル:小説
- 読了日:2023年6月11日(再読)
あらすじ
時は1970年、夏。
故郷へ帰省した「僕」の一夏の思い出が語られていく小説。
友人の「鼠」と酒を飲み、語らい、行きつけのバーで出会った女の子と交流を深めていくが、最後は無情にもすれ違っていく。
それはまるで「僕」が故郷で過ごした1970年の夏のように。
村上春樹のデビュー作であり、「鼠三部作」の一作目。
『風の歌を聴け』を読んだ感想と魅力
デビュー作でこれを出されたら、と思うと、文学界での衝撃は相当なものであっただろうことは容易に想像できます。
そのくらい、村上春樹の非凡さがうかがい知れる1冊。
『風の歌を聴け』は短編集ではないものの、短い小説なので、村上春樹の作品を読んでみたいという人はこのデビュー作から挑戦するのもおすすめ。
物語中に登場する架空の作家、デレク・ハートフィールドの文には名文がとにかく多いです。
ところどころにちりばめられている名文を拾い読みするだけでも、村上春樹特有の文体を味わうことができます。
「僕」が過ごした一夏の思い出を語った話という設定なので、そこから何か村上春樹からの強いメッセージを受け取ることや考察を加えることは難しいですが、1970年代の空気や雰囲気を感じるだけでも十分楽しめる小説だと思います。
まとめ:村上春樹に初挑戦の人におすすめ
村上春樹の鮮烈なデビュー作、『風の歌を聴け』をご紹介しました。
随所に見られる村上節が「僕」の過ごしたほろ苦い一夏をより引き立てています。
短く、世界観も分かりやすい作品なので、村上春樹の作品を読んでみようかなと考えている人や、村上春樹の作品に初挑戦する人におすすめです。
『風の歌を聴け』を読んで村上春樹の世界にハマった人は「鼠三部作」(『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』)に挑戦してみてはいかがでしょうか?
今よりさらに、村上春樹ワールドの面白さに気付いていくこと請け合いです。
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