【ネタバレなし】村上春樹『パン屋再襲撃』を読んだ感想

中山家の本棚 『パン屋再襲撃』アイキャッチ

 日本のみならず、海外でも活躍が知られている村上春樹。

 話題作や代表作として『ノルウェイの森』や『1Q84』といった長編小説がよく挙げられています。

 しかし、村上春樹の作品は短編も優れたものが多いのです。

 今回は、村上春樹がデビューして間もない初期の珠玉の短編を収録した、『パン屋再襲撃』をご紹介します。

目次

『パン屋再襲撃』の情報

『パン屋再襲撃』
『パン屋再襲撃』
  • タイトル:『パン屋再襲撃』
  • 著者:村上春樹
  • 出版社:文藝春秋(文春文庫)
  • ジャンル:小説
  • 読了日:2023年6月11日(再読)

あらすじ

 堪えがたい空腹は僕にかけられた呪いだった?

 呪いを解いて、空腹を満たすために僕と妻は東京の街へ出発する。

 そう、パン屋を「再び」襲撃するために。

 僕の過去は一体?再襲撃は成功したのか?

 表題作のほか、長編小説『ねじまき鳥クロニクル』の原型となった作品など、活動初期の村上春樹ワールドが広がる6編を収録した短編集。

感想

 初期の村上春樹の作品の美味しいところどりをした1冊といってもいいかもしれません。

 村上春樹の作品を読んでみたいけど、長編小説は心理的ハードルが高いという人や、村上春樹の作品がどういう雰囲気なのかを知ってみたいという人におすすめできる1冊です。

 1つ1つの話は短いのに、村上春樹の文体が持つエッセンスがギュッと詰まっています。

 さすが、文体を大切にしている村上春樹、といったところです。

 村上春樹作品初期の、リアルな生活の中に不思議や不条理が入り込んできて、主人公である「僕」が「やれやれ」とため息をつく、という特徴が表れています。

 いわば「村上春樹あるある」がこの1冊で味わえるのです。

 村上春樹の初期の頃の長編作品が好き、という人も楽しめるでしょう。

 村上春樹の長編小説を読んでいる人は『ねじまき鳥クロニクル』の原型である「ねじまき鳥と火曜日の女たち」にもニヤリ。

 『ねじまき鳥クロニクル』も再読したくなるかもしれません。

 表題作「パン屋再襲撃」はタイトルに驚かされますし、結末にもびっくり。

 まさにリアルと不思議の融合です。

まとめ:村上春樹の作品を読んでみたい人におすすめ!

 ザ・村上春樹、という文体の短編小説が6編。

 どれも短くサクッと読めるボリュームです。

 しかし、村上春樹の雰囲気はしっかり味わえる、お得な1冊

 村上春樹を知っている人も、知らない人もぜひ一度読んでみてください!

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